魁!!男塾

気付いた想い −Ver:富樫−

「あ〜、かったり〜」

 富樫はもうすぐ授業が始まるというのに中庭を歩いていた。
 それもその筈。
 富樫は次の授業に出る気がなかったのだ。
 だが授業をサボれば巡回中の教官に見つかってしまって殴られるのがオチだ。
 
「どうするかのぅ。・・・ん?」
 
 どうするか考えていた富樫だったが目の前の景色を見た途端、考えるのを辞めてしまった。
 
 目の前にはおお木にもたれて眠り、まるで一枚の絵のように景色に溶け込んでいる桃の姿があったのだ。
 
「なんじゃ、桃もサボりか?」
 
 そういうと富樫は眠っている桃の隣に座り込んだ。
 
「こんな所で昼寝たあねぇ・・・」
 
 そして その寝顔を覗き込んだ。
 
 緩やかな風になびく髪とハチマキ。
 綺麗な長いまつげ。
 どこか幼さを帯びた寝顔。
 
 いつもと、雰囲気が違う感じがした。
 
 綺麗に思えた―――。
 
「桃・・・」
 
 自然に、両手で頬に触れる。
 
 そして。
 
   ―――サアッ・・・
 
 緩やかな風が、二人を包み込む。
 
 気付いた時には桃の唇に、口付けていた。
 
「・・・・・・・・・・・・」
 
 唇を解放しながら桃を見詰める。
 本当に、綺麗な寝顔だ。
 桃は目覚める様子さえもない。
「・・・――って、何やっとんじゃ俺はっ!」
 
 だが今頃になって自分が仕出かした事に気付き、富樫は真っ赤になって、桃から離れる。
 
「悪ィ、桃っ」
 
 そして慌てて走り出してしまった。
 
(なんだって俺はあんなこと・・・!)
 
 自分でも分からなかった。
 親友で、男である桃に口付けた理由が。
 
 ただ
 
(桃を見てたら急に・・・)
 
 愛しく思えて―――。
 
 走り続けていた富樫だったが不意にその場で足を止めた。
 
(それって・・・)
 
 ずーっと友人だと思っていた。
 友人として桃を見ていた。
 けど、本当は―――。
 
(本当は、桃のこと・・・)
 
 自分の本当の気持ちに気付いたその時。
 
「こりゃあーーっ!富樫ーーーっ!!」
 
 後ろから怒りに燃えている飛行坊の声がした。
 そうだ。自分は授業をサボっていたのだ。
 
「やべ・・・!」
 
 富樫は再び走り出した。
 今度は飛行坊の怒りから逃げるために。
 そして自分の本当の気持ちに気付いた自分のスタートのために。
 
 逃げるのに清清しい気持ちで走り続けるのであった。
 
 
 
 
 
END
亮祐:うわ〜、こっ恥ずかしいもの書いたな〜。
翔:つーか『魁!!男塾』だって時点でヤバいだろ。
亮祐:しかも桃、寝てるしね…。
翔:そーいや男塾に中庭あるのか?
亮祐:さあ、次は本命の赤石バージョンを…。
翔:聞けよ、人の話。