鋼の錬金術師

find his out 3

モドル | トジル | ススム

 ホームに一つの拍手が響き渡る。

「いいねー、そのカッコ付け振り」

 自らを焔の錬金術師だと名乗ったロイに拍手を送ったのは列車から降りて来ただった。
 その隣りには連れのもいる。

「さすがロイ・マスタング大佐」
「おいっ!こんな所までしゃしゃり出て……」
ッ!?」

 驚愕の声でを呼んだのはロイだった。
 しかも、今初めて出会った筈のの名を呼んで。

ッ!やはり君か!それにも……」
……」
「久しぶり、ロイにリザ。元気?」

 尋常ではない二人に手を振りながら近付く
 エドとアルフォンスはというと呆然と見ている。

「大佐も中尉もお知り合いだったんですか」
「知り合いも何も、二人は……」

 その時だった。

「―――っ!?」

 の喉元に回された男の腕。
 見てみると、その足元には憲兵が倒れている。
 そしてその男の腕の片方は短くなった機械鎧だった。

「これしきのことで諦めてたまるかっ!!」

 消し炭にされかけたというのにしつこく立ち上がってきた挙句、人質まで取ったバルド。
 ここまで来ると同情さえしてしまう。

「ゴキブリ並のタフさだねー、おじさん」
「やかましいっ!!」

 だがにはさらさらその気が湧かないらしい。
 人質にされているというのにいつもの陽気な笑顔を崩さない。

ッ……」
「おっと。動くんじゃねぇ。少しでも動いたら……」

 助けようとしたに、バルドはぐっと腕に力を込めるのを見せつける。
 何も出来ないこの状態には舌打ちをした。

さんッ!」
「おいッ! 挑発するようなマネはっ……」
ッ! 大人しくしていろっ!」
「そうだっ! 頼むから大人しくしてくれっ! 巻き込まれたくねぇからっ!!」

 その言葉にん?と眉を寄せる。
 ロイはともかく、何故ハボックはそんな事を言うのだろう。
 まるで、がとんでもない事でも起こすような言い方を。
 当のはというと思わずどきりとしてしまう美しい微笑を浮かべていて

「おじさん」
「な、なんだっ……」
「俺ね、さっきおちびくん達が暴れまくったのを見てテンション上がってるんだよね」
「あ?」
「だから……」



「責任とってね」

 その途端、は喉に回されていたバルドの腕を引き剥がし、両手をパン、と勢いよく合わせる。
 すると両方の手の平から黄色というか青色というか、電流が放出された。

 それを見たエルリック兄弟は驚愕して目を見開いた。
 この練成反応、間違いない。

 これは錬金術だ。

雷掌底サンダーヴォルトっ!!」
「―――っ!?」

 そしては両手に電気を纏わせたままバルドに掌底突を喰らわした。

「がああああああぁぁぁっ!!」

 電流がバルドの体内を駆け巡り、辺りがスパークする。
 そして手を放すとバルドの身体はゆっくりと崩れ落ちて

 

 いくかに思えた。

 

「もう一丁っ!」

 そう言うとは再び両手を合わせ練成し始める。

「逃げろーーーっ!!!」

 その途端、ハボックの絶叫にも似た声が響き、一目散に駆け出した。
 それと同時にの両手が地面へと触れる。

神の雷インディグネイションっ!!!」

 それは信じられない光景だった。
 地面から無数の雷が上空へ次々と放たれていく。
 その雷に打たれ、今度こそバルドは崩れ落ちた。

 

 ――が

 

「ぎゃーーーーッ!!!」
「はぶッ!!」
「無差別攻撃かよっ!!」

 雷が止む事はなかった。
 それどころか周辺にいる憲兵までもが雷にやられている。

「どうしよ、兄さんっ!」(泣)
「逃げる回るしかねぇだろっ!!」
「おいっ! こっちだっ!!」

 雷に撃たれぬよう動き回って逃げる二人にかけられた声。

「急げっ!」

 それはの声だった。
 いつの間にから離れたのか自分達よりも向こうにいる。
 ロイらも一緒だ。
 雷に撃たれぬ様、言われた通り急いでの元に駆け込んだ。

「動くなよ」

 は両手を合わせ、地面に触れる。

岩の壁ストーンウォールっ!!!」
「わっ」

 すると練成反応と共に集まった全員が立っている地面から岩の壁がぼこっと出現した。

「ひとまずこれで安心だな」
「ああ」

 ロイとの会話を聞いた憲兵が頭を傾げる。
 この雷から地面を少し盛り上げただけで逃れられるなんて思えないのだろう。

「あの、どういうことですか?」
「あの雷は正確には雷じゃあない」

 訳が解らない憲兵にが説明を始める。

「あれは錬金術で増幅させた空気中の静電気だ。地面から5cm以内の空気中の静電気を増幅させ、上へと放っているにすぎん」
「だから電流を通さない岩で壁を作ったってワケか」

 エドワードはそっと岩の壁に触れた。
 これならあの雷から身を守れる。
 だがだけではなく、このまで錬金術師だったとは。

 やがては適当な時間で岩の壁を錬金術で分解した。

 見てみるとバルドはその場に倒れていた。
 あの電流にしては思ったより傷は酷くなかったが、それでも入院は必須だろう。
 すぐ傍にもいる。

「ロイのと合わせて全治三ヶ月ってトコかな?」
「てめぇ……」

 の足元でバルドが重症だというのに必死で声を振り絞る。

「何者だ……!只の一般人じゃねぇな……!!」

 ロイにやられた時と同様ぎろりと睨みつけていた。

「何者だといわれてもねぇ……。俺は……」
「すいませーん」

 その時、汽車の方から声がした。
 見てみると車掌が両手に二つの分厚く青い布を持ってこちらを見ている。

「貴方方の座席にこんな物が……」
「あー、すいません。俺達ので間違いないです」

 車掌から忘れ物を受け取ると、片方をに投げ寄越した。

「そうだ。ロイ、おまえの台詞ちょっと借りるよ」

 そう言って布を羽織る。
 布と思っていたのは上着だったようだ。

「俺の名は

 だがその上着は
 袖に手を通した、青く分厚いその上着は
 その凛凛しい出で立ちは

「地位は少佐…」

 どう見ても、軍人。

「そして」



「『雷鳴の錬金術師』さ」
「「何だってーーーーーーーーーーーぇぇぇっっ!?!?!?」」

 エルリック兄弟が思わず上げた大声がホームに木霊する。
 その声に一番ビビったのはバルドだった。





END


亮祐:管理人です夢主1の正体は国家錬金術師でしたとさ☆という回だったというワケです。夢主2の理論に関してはデタラメなんで信用しないように。
翔:信じたらどうする気だ。
亮祐:でもポケモンで土は電気を通さないっていってたからそれは本当だと思うんだけど…。(遠い目)本当は雷に巻き込まれた憲兵の中にハボックも入れようかと思いましたが原作で憲兵に発火布の理論を話すシーンがあったんで辞めときました。ではこの辺で。


BGM:『メリッサ』/ポルノグラフティ

モドル | トジル | ススム

-Powered by 小説HTMLの小人さん-