鋼の錬金術師

find his out 2

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 エドワードは列車の上を伝って一等車へと向かっていた。
 勿論、走行している列車の上なので気を付けていても風圧で何度も落ちそうになってしまう。

「うわっ!」

 現に今も風圧で足を滑らせガクンッと体制が崩れた。
 しかも運が悪いことに足場がない。

 ―――落ちる!!

 そう思った。
 ここから、しかも走行する列車から落ちれば命はない。
 反射的に目を瞑った。

 その時
 右腕を掴まれ身体を引っ張り上げられる感覚。

 気付いた時には列車の上で誰かに抱きしめられていた。

「ふ〜、ギリギリセーフ」
「アンタは……」

 安堵の溜息を吐く彼を見てエドワードは驚愕のあまり目を見開いた。

「大丈夫? おちびくん」

 風に靡き、頭から肩先まで光り輝いているように見える、傍らで結わえた黄金色の髪と、同じ色の瞳。
 美しい顔立ちに浮かぶ陽気そうな笑顔。
 この間の「奇跡の業」騒動で出会った、その人だ。

「何でアンタがここに……!?」
「いや〜、列車に乗ってたら変な奴らが列車占領し始めたもんだからさ」

 彼いわく、何とかしようとエドワード同様一等車へ向かおうと上へ昇るとまさにエドワードが風圧で飛ばされそうになっているところだった。

「それにしてもまた会えるなんて、やっぱついていきなさいって神様がいってるのかな?」
「あんた、神さまってのは人間がよりどころにしてるもっとも曖昧な存在とかいってなかったか?」
「んじゃま。一等車へと向かいますか」
「聞けよ人の話っ!」

 ゴーイングマイウェイなにエドワードは怒るしかない。

「とにかくさ、今は協力して何とかしない? 一人より二人っていうし、戦闘能力だってこの間で折紙付き。どう?」

 その言葉にエドワードは口を噤んだ。確かに、人数は多い方がいいし、以前のことで戦闘能力も折紙付きだ。
 だが流石にこれ以上一般人を巻き込む訳にはいかない。

「悪いが……」
「よし、レッツゴー」

「――って、勝手に決めんなっ!!」

 やはりゴーイングマイウェイなのであった……。










「うわ、あぶねー!あぶねー!」

 一等車から降りたエドワードは冷や汗をかいてたい。一等車からの乱射で左足に弾丸が一発命中したのだ。

「よかったねー、左足以外だったら危なかったよ?」
「ああ」

 左足の機会鎧に引っかかった弾丸を捨てる。
 勿論、相手に怒りを覚えながら

「きしょー、覚えてろよ」



「「まずは機関室奪還!!」」










「――って、いっておきながら……」



「何でテメエは何もしてないんだーーっ!」
「しょうがないじゃん。そこのおじさま方2人がいい具合に倒してくれたんだから」

 なんと、はエドと機関室の小父様方が占領グループの2人を倒すまで外でちゃっかり様子を見ていたのである。

「とにかくほら、一等車へ行こうか」
「わかっとるわっ!」

 差し出してくれた手を憎しみを込めながら握って上へと昇る。

「いたぜ、ハツカネズミちゃん」

 すると前方には銃を構えた一人の男。
 占領グループの一味が待機していた。
 自分達の姿を確認した途端、こちらへ向けて銃を乱射してくる。

「うひゃっ!」
「おっと!」

 何とかよけることが出来た二人。
 だが短気なエドはここまでされて黙ってなどいられない。

「あっ……」



「…ぶねーな、この野郎っ!!」

 汽車の一部を大砲へと練成し、ブッ放した。

「どわーーっ!!」

 落ちはしなかったがビビらせるぐたいにはなっただろう。

「こりゃあっ!汽車の命の炭水車になんて事をっ!!」
「わ、ごめんっ!」
「倍返しいわく倍以上返しだね」

 怒られているというのに、は上機嫌でビビってしまった男の様を見ていた。

「ん? 炭水車」

 思いついて、ちょっと炭水車をコンコンと叩いてみる。

「ふーん……」
「ン? 何か面白そうな事でも思い付いた?」
「……まあね」

 にやりと笑うエドを見て、もまた楽しそうに笑った。










「ぶああああああああああっ!!」

 一等車に大量の水が流れ込んでいく。
 エドワードの考えとは炭水車に溜め込まれた水を一等車に流し込むというものだった。

「「いらっしゃい」」

 そしてバルド以外の占領グループはアルフォンスと、同様途中合流したの元へ。

「まだだっ! まだ切り札の人質が……」

 水が引いて、バルドが立ち上がろうとしたその時

「やめときなよ」

 目の前に、一足早く一等車内へ下りていたが立ちはだかっていた。

「いい加減諦めたら? 駅に着いたら軍に捕まるのは目に見えてるし、手下の皆さんだって今頃ボコにされてるころだ。そしてあんたの目の前には」

 そこで一端息を吐いて

「俺とおちびくんがいる」

 言い放つと2人の間にエドワードが降り立った。
 そしてバルドはエドワードと、合流したアルフォンスの手によって倒された。



 ……は最後まで何もしていなかった。





 


亮祐:管理人です。夢主1、最後はかっこよかったのに結局何もしてません。夢主2も殆ど活躍してない上に一度しか名前出てませんな。エドもおちびくん呼ばわりされてるというのに……。
翔:書いたのはおまえだろ。
亮祐:あははは……。よしっ、次で二人の正体を明かすぞっ!!


BGM:『メリッサ』/ポルノグラフティ

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