「乗っとられたのはニューオプティン発特急0四八四0便。東部過激派『青の団』による犯行です」
東方司令部の通路に二人の軍人が歩いている足音が響き渡る。
話しかけているのが女、聞いているのが男だ。
「声明は?」
「気合入ったのが来てますよ。読みますか?」
「いや、いい」
目的の部屋に着いた男はドアノブに手をかけ、開いた。
「どうせ軍部(われわれ)の悪口に決まっている」
「ごもっとも」
男の名をロイ・マスタング大佐。
女の名をリザ・ホークアイ中尉といった。
「要求は現在収監中の彼らの指導者を開放する事」
「ありきたりだな。――で、本当に将軍閣下は乗っているのか?」
「今確認中ですが恐らく」
答えたのはファルマン准尉だ。
「困ったな。夕方からデートの約束があったのに」
「たまには俺達と残業デートしましょうやー」
“不味い茶で”と付足しながらブレダ少尉は新聞を読んでいる。
「ここはひとつ将軍閣下には尊い犠牲になっていただいてさっさと事件を片付ける方向で……」
「バカいわないでくださいよ。乗客名簿上がりました」
フュリー曹長から受け取った乗客名簿を覗き込んできたハボック少尉と共に見てみると確かにハクロ将軍とその家族の名があった。
「あー、本当に家族で乗ってますね、ハクロのおっさん」
「まったく……。東部(ここ)の情勢が不安定なのは知ってるだろうにこんな時にバカンスとは……」
ふと乗客名簿の中にあった二つの名前に視線がいく。
「ああ諸君、今日は思ったより早く帰れそうだ」
そう言うとロイは口元に笑みを浮かべ
「鋼の錬金術師が乗っている」
さぞ愉快そうに言った。
「そうですか。エドワード君達が……」
「それなら早く片付きますね」
ホークアイとフュリーの声を聞きながら乗客名簿を置こうとした。
だが、乗客名簿にある二つの名前。
エルリック兄弟以外の名。
「どうしたんすか?大佐」
乗客名簿に瞳を見開いているロイにハボックが声をかける。
「あ、いや。何でもない…」
ロイは心ここに在らずといった返答をした。
ひらりとその手から滑り落ちた乗客名簿。
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その名が記されていた。
亮祐:夢小説といっておきながら夢主の出番がないとはこれいかに。えー、実はロイは夢主たちと面識があるんです。ちなみにタイトルの"find
his out"は和訳すると"彼の正体をつかむ"。まんまです。では続きます。
BGM:『メリッサ』/ポルノグラフティ