陸月も外へ出てきた。
アルベルトから逃げる五月の後姿を見ているアレフの元に近付いて一言訊ねた。
「さっちゃんのこと好きでしょ?」
突然すぎる言葉に思い切り噴き出した。
「急になに…!!」
「いっておくけど、僕もさっちゃんが好きだよ? 神月流の道場で出会ったときからずっとねv」
いつもの笑みを浮かべている。
けれどどこか違う。
ふいにその笑みが変わる。
「負けたりなんかしないから」
今までとは違う、不敵な笑みを向けた。
宣戦布告。
アレフの脳裏にその言葉が浮かんだ。
「それじゃあ、こっちも負けるワケにはいかねぇな」
そして二人は互いの握りこぶしを軽く当てた。
五月を巡るレースの始まりだった。
その日の晩、自警団寮の自室に陸月がいた。
美しい星空を見上げている。
「僕とアルとアレフと……。まさか、こんなにもさっちゃんを狙ってる人がいるなんて」
思えば五月は昔からもてていた。
男限定で。
―――ま、負けるつもりはないけどね
くすりと笑って部屋の電気を消した。
END
亮祐:管理人です。これを初めてアップしたのが2003.12。恐ろしいことに全部発表するのに約二年かかってたんです。
翔:二年かけてこれかよ。
亮祐:ではこの辺で!
BGM:『空も飛べるはず』/スピッツ