EMPTY A CONCEPTION

亮  6

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 その頃、アレフとテディは二階の別の部屋にいた。
 部屋の中は案外綺麗で心地いい。
 造花なのか、壁に飾られている全く枯れていない草花の冠が印象だった。

 ―――いい感じの部屋だよな

 居心地の良さに酔いながら机に寄りかかる。
 机に置いてあった写真立てが倒れた。

「危ないっス!」
「おっと」

 元に戻そうと手に取る。
 写真は高価な物。
 すぐさま元の位置に戻そうとしたが写っている者を見て手を止めた。

 それは家族写真のようだった。
 けれど普通の家族写真ではない。
 二人の顔が黒マジックで塗りつぶされていた。
 写真の後列には三人いた。
 左から一人目は白衣を着た金髪と水色の瞳を持つ女。
 二人目は肩までのくせっ毛の茶色の髪と紫電の瞳をもつ女。
 三人目はマジックで顔を塗り潰されており、黒いローブを纏った腰までの茶色の髪だということしか判らない。
 前列には同じ腰までの長い髪の五人の子供がいた。
 左から一人目は無機質な表情で侍女のような服を着た長い漆黒の髪と紫電の瞳を持つ少女。
 二人目は後列の三番目同様顔を塗りつぶされていて、黒い服を着た長い漆黒の髪という事しか解らない。
 三人目は可愛らしい服を着た長い漆黒の髪と紫電の瞳の少女。
 四人目はいかにもやんちゃそうな服を着た長めの漆黒の髪と両目に包帯を巻いている少年。
 五人目は不思議な服を着た長めの茶色の髪と緑の瞳を持つ少女。
 写真に写る八人全員が笑みを浮かべている。

 ―――五人のうちどれかが亮だよな……

 どれが亮なのかアレフには解らなかった。
 普通に考えれば二人目か四人目の少年だ。
 けれどアレフにはどちらかが亮だとは思えなかった。
 一人目と三人目が亮と同じ紫電の瞳だったから。
 写真立てから写真を取り出し、眺めながら考えていたその時、後ろから気配を感じた。

「何してるんだ?」
「うおっ!?」
「ひゃあっ!?」

 後ろからアルベルトが覗き込んでいた。

「なんだ、アルベルトか」
「びっくりさせないでほしいっスよ〜」
「“なんだ”はないだろ……。ところで、それは?」
「ああ。見てみろよ」

 怪訝そうなアルベルトに写真を見せる。

「どう思う?」
「どうって……妙に決まってる」

 アルベルトから見てもその写真は妙だった。
 八人全員笑ってはいるが内二人はマジックで顔を塗りつぶされており、一人は両目を追い隠すように包帯を巻いている。
 写真について二人が考え込む。
 けれど何も解らなかった。

「ドクターーーーッ!!!」

 近くから女の叫び声が聞こえた。
 その声の持ち主を二人と一匹は知っていた。

「今のエルの声じゃねーかっ!!」
「大変っスっ!!」
「ちいッ!」

  慌てたアレフが思わず写真をポケットの中に突っ込む。
 アルベルトと共に部屋から駆け出して行った。





 


亮祐:管理人です。ここは修正して追加しております。アレフが見つけた写真は後々にキーになりますのでよく覚えておいて下さい。
翔:無理いうなよ!!
亮祐:さ、挿絵描きますので!では続きます。


BGM:命の儚さ/「煉獄庭園」

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