アレフ達は夜鳴鳥雑貨で店主から話を聞いていた。
「え?来てない?」
「ああ。昨日から葉月ちゃんの姿は一度も見てないね。じゃあ、私は仕事があるから」
おやっさんはさっさとカウンターの仕事へ戻っていった。
「どういうこと?葉月は買い物に行くっていってたんでしょ?」
「だからって夜鳴鳥雑貨店とはかぎらないだろう。他にも、店はあるんだ」
「んじゃあ、別のとこを探せば……」
他の店に行こうとしたその時、後ろから気配を感じた。
「おい、何やってるんだ?」
いつの間にか三人の後ろにアルベルトが居た。
「アルベルトじゃない」
「アンタこそ何やってんだい?」
「俺はクレアに頼まれた買い物。晩メシのな」
アルベルトの手には買い物袋があった。
これでかっぽう着を着ていれば完璧お母さんなのだろう。
だがそんな姿誰も見たくない。
「――で、おまえたちは何やってるんだ?」
「あたしらは葉月を探してるんだ」
「“ここに行く”っていってでたんだけど、来てないらしいのよね、コレが」
「とにかく、早く葉月を探そうぜ」
アレフは不快だった。
葉月のことは早く探したいが、何だかアルベルトと話してることによって足止めをくらっているような気がするから。
だからこそアレフは早く夜鳴鳥雑貨店から出ようとアルベルトに背を向けた。
「葉月ならさっき見たぜ」
「「「なっにーーーーーーーーーーーーぃっ!?!?!?」」」
だが何気なく投げられた言葉でアルベルトに詰め寄った。
「ドコで見たのっ!?」
「ドコって、ローズレイクの方角に向かって……」
「よっしゃあ! 行くぞっ!」
「ああっ!」
それだけ聞くと三人は猛スピードでローズレイクに向かって走っていく。
「――って、何なんだいったいっ! ワケくらい話しやがれっ!」
事情を聞く権利くらいあると判断したアルベルトも三人のあとを追いかけて行った。
亮祐:管理人です。アルベルト登場。ちなみにこの時点でアルは葉月への恋心をちゃんと認識済みです。次でやっと問題の葉月が登場、そして真実に関わる彼も…。ではこの次で。
BGM:『スカーレット』/スピッツ