陽光が酷く心地よい。
陽のあたる丘公園に少年と少女がいる。
同じ顔、似た髪と瞳。双子だというのが一目瞭然だ。
真剣な眼差しで少年が少女に話をしていた。
「ライラ、あのさ…実はオレ、ローザのことが、好きなんだ」
「ローザお姉ちゃんが?」
「ああ。けどさ、オレ、ガキじゃん? 本気にしてもらえっかな……」
「大丈夫だよ! ライル本気だもん! ちゃんとわかってもらえるよ!」
「あ、ああ……」
自身満々な少女ライラにライルという少年は少したじろんだ。
おかしい。
いつもの妹ならこんな風に強気に言ったりしない。
もっと穏やかな筈だ。
「そうでしょ? ローザお姉ちゃん」
「!?」
慌てて振り向くとライラの目線の先にはライルもよく知る人物がいた。
紺色の髪と瞳。
真っ赤になった顔を隠すように両手で口を押えている。
話しに出ていた双子の従姉、ロスヴィータ・オリヴィエ・アウフシュナイター、通称ローザだ。
「ロ、ローザっ、今のきいて…!?」
ライルもローザも真っ赤になって黙り込んでしまった。
ライルは思いがけない形で年上の従姉に告白してしまい、ローザも思いがけない形で年下の従弟から告白されてしまったのだから。
だがこのまま黙り込んでいては埒が明かない。
意を決してライルは声を出した。
「ローザっ!オレ…!!」
「私、ライルのことが好き…!!」
振り絞ったローザの声が当たりに響いた。
「ずっとずっと、好きだったの…!!」
両目に涙を溜め、余計真っ赤になったローザにつられる形でライルも余りの嬉しさに真っ赤になっていた。
「でも、私の方が4つも年上だし、信じてもらえないんじゃないかって不安でいえなくて……」
だから従妹のライラに相談してみたら自分に任せてここに隠れてと言われたのだと。
一方ライラは満足げな笑みを浮かべていた。
ライルから相談があると持ち掛けられた後、ローザから相談されピンと来た。
ライルもローザのことが好きなのだ。
ならば自分がキューピッドになってくっつけてやればいい。
「よかったね、二人とも!」
二人の手をとって握らせてあげた。
最初は照れていた二人もやがて三人で笑い合っていた。
自分達はいつまでも笑い合っていくのだろう。
ライラとライルとローザと其々の家族と。
いつまでも幸せな日々を送っていくのだ。
そこで目が覚めた。
ベッドから体を起こし、枕元においてある写真を見る。
写っているのはライラとライルとローザ、そして其々の家族。
五年前に撮った最後の集合写真。
続くと思っていた。
あの幸せはずっと続くのだと信じて疑わなかった。
五年前のあの日までは―――
ふとすぐ傍にある時計に視線を移すと針は七時を差していた。
「そろそろ行かないと……」
ベッドから出て急いで身支度をする。
黒のパンツに緑色の服、そして支給された鎧。
最後にもう一度だけ写真に目を向けて
「行ってきます」
そしてエンフィールドの最東端にあたる自警団寮から出て行った。
亮祐:管理人の亮祐です。すみません。今回前置きにあたる夢が長すぎました。
(汗)当初セリフだけにするつもりでしたがそれだとあまりにも味気なさ過ぎるのでちゃんと書いたら前置きが一番長くなってしまうし…。
翔:ボロボロだな。
亮祐:おっしゃる通りです。今回はライラが兄ライルとして生きている理由とヘキサとの出会いを四・五話で書く予定です。お付き合いの程、よろしくお願いします。ではこの辺で失礼を。
BGM:『雨よ降れ』/煉獄庭園様(MP3です。どんな曲か知りたい方は今すぐリンクから飛んでください)