リボーン

モドル | トジル | ススム

  ツンデレが起こす災厄  

「なあなあ、ツナ達はツンデレって何か知ってるか?」
昼休み。屋上。手にはお弁当。
そんなのどかな時間を破壊するかのごとく、山本はほがらかに爆弾を投下した。



ぃぃぃ!! 山本にナニ吹き込んだぁぁぁ!?」
「俺ー!? なんで犯人俺って決め付けんのー!? てゆーかキャラ変わってんぞマグロー!?」
「キャラなんかどうでもいいだろ!? 山本は!! 山本はなぁ!! 俺にとってこの学校で唯一のオアシスなんだぞ!?」
「古っ!! 表現古っ!! 今時オアシスなんて使わねーし!! つーか笹川はどうしたー!?」
「京子ちゃんはこの世で唯一のユートピアだ!!」
「意味判んねー!! 大体オアシスとユートピアってどう違うんだよ!? でもなんか言い切る辺りが無駄に男らしー!!」
「十代目は漢の中の漢だバカ野郎!!」
「バカって何だよー!? じゃあお前はオアシスとユートピアの違いが判るのかー!?」
「オアシスは砂漠の中でありながら水が沸いて樹木が生えている場所のことで、そこから転じて慰安となるものや場所を指すんだよ!! ユートピアは元はギリシア語で『どこにもない場所』という意味で、トマス・モーアの空想的社会小説『Utopia』に基づく想像上の理想的社会や理想郷を指す!!」
「うわサラッと答えられて逆にムカつくー!! じゃあツンデレは何か知ってるかー!?」
「一年の大半が堅氷に閉ざされている荒原だろうが!! 主にヨーロッパロシア北部、シベリア北部、カナダ北部、アラスカに拡がってる!!」
「お約束のボケをありがとー!! それはツンドラだアホー!!」
「アホだと!? じゃあお前は何か判ってんのか!?」
「それくらい知っとるわー!! 別に知りたくもなかったけどなー!!」
「へえ、じゃあ何なのか俺に教えてくれよ」
「つかさぁ、こんだけバカ騒ぎしてんのに、なんで山本はそんだけマイペースなんだよー?」
「そうか?」
「そうだよー」
「まあ、いいじゃねえか」
「自分で言うなよー。でもそれが山本だしなー。よし、特別に実演してやろう」
「よっ、待ってました千両役者!!」
「おうよ、俺様の名演技に酔いなー!!」
君、ノリノリだぁ…」



「獄寺、お弁当あげる」
「はあ? いきなり何だよ?」
「べ、別に何でもないわよ。お昼のお弁当、多目に作りすぎちゃって、捨てるのももったいないからアンタに恵んであげる。獄寺っていっつも購買のパンじゃない、そんなんじゃ栄養偏るわよ?」
「何食べようと俺の勝手だろうが」
「バカ。そんな不摂生して倒れたらどうするのよ? 何かあってからじゃ遅いんだから。よかったらその…お昼のお弁当くらいなら作ってあげてもいいけど…」
「へ?」
「か、勘違いしないでよ!? 右腕のアンタに何かあったら、一番迷惑するのはマグロなのよ!? 一応私だってボンゴレファミリーの一員なんだから、ボスの心配するのは当然でしょう!?」
「そ、そうか…」
「とまぁ、これがいわゆるツンデレってヤツー」
「そうか、これがツンデレかぁ」
「一般的にはー、普段はツンツンしてるのに二人きりになったりするとデレデレする状態や人物のことなんだよー。獄寺協力サンキュー」
「え、演技だったのか今のは…?」
「そうに決まってるだろー? 演技とは言え獄寺に優しくするのって、気持ち悪かったぁ…」
「それはこっちの台詞だ!! 果たすぞテメェ!?」
「やれるもんならやってみなー。埋めて肥やして食らってやるよー」
「お、今度は戦争ごっこか? 俺も混ぜてくれよ」
「上等だ!! 二人まとめて片してやる!!」
「食後の運動うんどー。マグロも混ざれー」
「やだよ!!」
とは言ったものの、笑いながらそれぞれの得物を手に戦闘態勢を取る三人から逃れる術などなく、騒ぎを聞きつけた風紀委員長が咬み殺しに来るまで、少年達による異種格闘技戦が繰り広げられたのは言うまでもない。





END.


単にノリノリでツンデレを演じるが書きたかっただけの話。
ちなみに、ツナをマグロと呼んだりいぢって遊びまくっているのことを獄寺は嫌っていて、そんな獄寺のことをはどうからかってやろうかと企んでます。
 山本とはツナを挟んでそこそこ良好。

モドル | トジル | ススム

-Powered by 小説HTMLの小人さん-