ヒゲヒゲ団の基地を爆発させた後
僕は、マイティという自分を捨てた。
幼い頃は兄のままでいいと思ってた。
兄でいれば、シロボンにとって特別な存在でいられたから。
けど月日が経つ連れに、それ以上の存在になりたかった。
シロボンが女の子だったら、僕が兄じゃなかったら、僕に勇気があれば
それ以上の存在になれたかもしれないのに。
ああ、誰か
僕を“シロボンの兄”という楔から
解放してください…………。
だから僕は、自ら記憶を捨てた。
マイティじゃなくなれば、シロボンにこの想いを抱いてても苦痛じゃなくなるだろうから。
マイティじゃなくなれば、シロボンにこの想いを告げる勇気をもてるかもしれないから。
記憶をなくした僕が、シロボンにこの想いを抱くかは分からないけど。
記憶をなくした僕が、シロボンにこの想いを告げる勇気をもてるかは分からないけど。
記憶をなくした僕が、シロボンに好かれるかは分からないけど。
それでも僕は、これにかけたかった。
記憶をなくした僕に、かけたかった。
「ここは、どこだ……? 俺は、いったい……」
END
亮祐:人間が記憶喪失になるには自分には絶えられない出来事が起きた場合、頭を強く打った場合の二つが主なんですよ。
これは自ら強く別人になりたいというマイティの願いと、基地が爆破した時に瓦礫か何かで頭部を打った事で記憶喪失、担ったという設定で書いたのに上手く表現しきれてない気が……。
BGM:『砂の果実』/中谷美紀