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「何してんだ? マイティ」
バーディは夜中の草原に座り込み、手を合わせているマイティを見つけた。
「バーディ」
「こんな所に座り込んで、風引くぜ?」
「確かに。少し寒いや」
笑いながら、マイティは身震している。
“早く戻ろう”と言おうとしたその時。
「願い事を……」
「ああ?」
「願い事をしてたんだ。さっき流れ星を見つけたからね」
馬鹿馬鹿しい。
いまさらそんなの信じてる年でもないくせに。
バーディはあきれてその隣に座ってしまった。
「――で、その願い事は三回いえたのか?」
「ダメだったよ。あともう少しだったんだけど」
そう言ったのでマイティは少し残念そうな笑顔を浮かべると思っていた。
だが―――
「やっぱり、どんな事しても叶わない願い事だったからかな……」
少し残念そうな笑顔どころではない。
マイティの表情からは笑顔が失われていた。
こんなマイティを見るのは、初めてだ。
「どんな、願い事をしたんだ……?」
「……絶対叶わない願い事だよ。どんな事しても。生まれつき定められてることだからね」
「…………」
「バーディ、僕の願い事はね」
「“弟の、シロボンとの血の繋がりを絶ってください”だよ」
「バーディ、何やってるの?」
目を開けると、シロボンがバーディを見下ろしていた。
どうやらいつの間にか眠っていたらしい。
場所と時間帯が同じだったためか昔の夢を見てしまったようだ。
「ああ、少し寝てた」
「ふ~ん。じゃあぼくも寝よっかなっ」
体を起こしたバーディにシロボンはエヘヘと無邪気な笑顔を向けた。
―――……ったく、人の気も知らねぇで
―――襲いたく、なるじゃねーか……
だがここで襲ったりするようなバーディではない。
嫌われるような真似はしたくないし、何よりマイティに知られでもしたらと思うと恐れ多くて出来る訳がなかった。
―――マイティも、この笑顔に惹かれたんだろうな……
同じ穴の狢になってしまった今なら、マイティがどんな気持ちであんな願い事をしたのかよく分かる。
かなりの真面目なマイティの事だから、必死で否定し、やっと受け入れても誰にも相談出来ずそうとう悩み苦しんだだろう。
それなのに、何も知らないシロボンはこの無邪気な笑顔を誰構わず振りまいて。
あまりの嫉妬心で地獄の様だっただろう。
正直、バーディも自分以外にはその笑顔を見せたくないのだから。
弟に、こんな気持ちを抱いてはいけない。
こんな自分を誰にも、特にシロボンには絶対知られたくない。
せめて、せめてシロボンが弟じゃなかったら、この気持ちを言えたかも知れないのに・・・―――。
マイティはきっと、そう思って流れ星に願うことのない願い事を試みたのだろう。
藁にも縋る気持ちで。
―――けどな、マイティ……
「わっ。バーディ、どうしたの?」
俺は、いってもいいと思うぜ。
もしかしたらってこともあるだろうし。
何より、例え何であろうとシロボンはお前を尊敬して慕ってるんだしな。
第一、そんなことで嫌ったりするような奴じゃねぇだろ。
「シロボン、マイティのこと、尊敬してるか?」
「そんけい? モチロンッ!」
「好きか?」
「好きだよ?」
「じゃあ例えどんなことがあろうと嫌いになったりしねぇな?」
「そんなの当たり前じゃない。兄ちゃんのこと大好きなんだからっ!」
「そうか。そうだな……」
ここまで“好きだ”と言われると少々複雑な気分だったが、相手がマイティならしょうがないと思ってここは目を瞑る事にした。
“弟の、シロボンとの血の繋がりを絶ってください”だよ―――……
なぁ、マイティ。
俺も願い事が出来たぜ。
俺の願い事は
マイティの願い事が叶いますように―――
こいつが俺のモノにならねぇのは癪だが、一番シロボンのことを想ってるおまえになら、とられちまってもしょうがねぇからな。
バーディは星を見上げ、天に祈った。
次の日
「バーディ、どうして昨日ぼくのこと抱いたりしたの?」
「シロボッ……!? 表現が違っ……!!」(///)
「あなたこんな子供に手ェ出したワケェッ!?!?」
「マイティにバレたら血ィ見ることになるでー」
「ショタコンでボンゴー」
「ももちゃんにいっとくかのぅ」
「違うっ! 断じて違うっ!! 誤解だああぁぁぁぁぁっっ!!!」
バーディの叫び声は星中に届き、その翌日の朝刊に『タクシー運転手、ショタコン疑惑を晴らすべくあげた大声がギネスブックに!!』と一面トップ記事で報じられた 。
END
亮祐:「マイティの一番長い一日」を見た直後に浮かんだ二つのネタの片方。全部シリアスで行こうかと思ったがあえてギャグオチに。もう片方がかなり暗めだったのでね……。
BGM『Star Talk』/酒井 法子with宇佐元 恭一