それは、シロボンがジェッターズに加入して早一週間の出来事。
「まだ眠れんのかいな」
「困ったでボンゴー」
「どうして眠れないんじゃ……」
ジェッターズの面々は困り果てていた。
その理由は皆の目の前のベッドの中で眠そうにしているシロボンにある。
信じられない話だがシロボンはここに来て一週間一睡もしてない。
ここまでくれば只事ではないと思った一同はシロボンを病院へ連れて行ったのだが、医者が言うには脳が極度の緊張状態である以外全くの健康体との診断をされた。
まさか子供相手に睡眠薬を使う訳にはいかないので眠気を誘うホットミルクやハーブティを飲ませたり、子守唄を歌ったりと寝かせようと試みたのだがどれも全く効果がなく、現在に至る。
「シロボン、まだ眠れないの?」
「うぅ〜……」
シャウトもシロボンを寝かせようと頑張っているのだが本人は眠そうにしているだけで眠る気配はない。
まさにお手上げ状態だった。
「やっぱ睡眠薬使うしかないんとちゃうんかー?」
「じゃがクセになるとこれなしでは眠れんくなるぞー」
「他の方法で眠らせるしかないでボンゴ」
「でも他の方法っていっても……」
一同は良き方法が浮かばず、考え込んでしまった。
「おい、大丈夫か?シロボン」
向こうで見ているだけだったバーディも近付いて、放って置かれたシロボンの頭にそっと手を置く。
「バーディ〜……」
すると甘えてくるように抱きつかれた。
(うっ……)
バーディは思わず動揺してしまった。
なぜかというとシロボンの潤んだ瞳。
いつもより高めの声、体温。
どれをとってもバーディにとっては全てがいつも以上に可愛いらしかった訳で。
「(くそっ……。どうしてこんな反則並に可愛いんだ……!?)」
「バー、ディ……?」
真っ赤になって硬直してるバーディの様子を変に思ったのかシロボンはくいっくいっと服を引っ張ってくる。
これ以上、我慢できない。
据え膳食わぬは男の恥、である。(笑)
「(大丈夫、か……)」
シャウト達がどうするかの話し合いでこちらには目が向いてないこと。
そしてシロボンの意識がはっきりしてないことを確認するとシロボンの頬に触れてゆっくりと顔を近付けていく。
そして額に、触れるだけの口付けをした。
我慢が出来ないからといって、流石に唇やそれ以上のことをする訳にはいかないし、何しろ相手はまだ何も知らないお子様だ。
額から放し、顔を見てみるとやはりあまりの眠気で何をされたのかよく分かっていないようだ。
「ん〜……」
「シロボン?」
それどころかそのままシロボンはバーディに寄りかかるように寝入ってしまった。
突然のことに拍子抜けしてしまったバーディだったが良かったと思いながらあどけない寝顔を見詰め、愛しむようにシロボンの頭を撫でる。
「すごーいっ!」
―――ドキイィィィンッ!!
突然、背後からシャウトの声に見られたのではないかと肩を震わせた。
「今まで何やっても眠ってくれなかったのに、どうやったのっ!?バーディっ!」
「いや、まあ、な……」
「とにかくこれでわいらも安心して眠れるでー」
シロボンが眠ってくれたことに胸を撫で下ろす皆と、先程のキスを見られたわけではないことに胸を撫で下ろすバーディであった。
翌日、シロボンはジェッターズの皆に元気な姿を現した。
「そういえば、バーディにどんな方法で寝かしつけられたんでボンゴ?」
「おデコにチューしてくれたんだよっ? お兄ちゃんが毎日、ジェッターズのお仕事が忙しいときでも寝る頃に僕の部屋に来ておデコへおやすみのチューしてくれたんだっ!」
「眠れんかった理由はそれかいな」
「マイティのシロボンに対するブラコン度とかシロボンのお休みのキスがないと眠れないお子様なところとかツッコむ所は色々あるんだけど、一番にバーディ、あたしたちがいる前でそんなことしたワケ……?」
「若いのう」
「………………///」
そしてその日から、バーディはシロボンの寝かしつけ役に就任させられた。
END
亮祐:管理人です。慣れない所だと緊張して眠れないという人がいます。「シロボンもこのタイプかなー」と思って書いてはみたがただのバーディ寝かしつけ役就命話になってしまった。(笑)
しかし改めて見るとバーディ、つまみ食いをするという封にも見える…。一回目の放送を見逃しているから分からないがマイティは絶対ブラコンだと信じてます。
「弟に近付く輩は例え親友でも許さんっ!」というくらい。多分、この事をマイティが知ったら怒り狂って帰ってくるかもなぁ〜。
BGM:なし