「急ごーぜ、久保ちゃん。ほら」
そう言って、久保ちゃんに差し伸べた手。
「うん」
久保ちゃんに触れられる度に、久保ちゃんが好きなんだって自覚するんだ。
けど
「行こうか」
今は、この気持ちを言う気はない。
俺の過去を見つけるまでは、この右手がなんなのか
分かるまでは言わない。
久保ちゃんも、それを分かってて黙ってくれてる。
だから
「……腹へったねぇ」
「だろ?だから急ごーぜ」
このままでいようぜ。
俺の過去を、見つけるまでは……。
END
亮祐:「このままで」の時任バージョン。この時任も過去を言い訳にしていると取れるかもしれないな〜。
BGM:『“Knockout drops”』/森川智之・石川英郎