Photo:veil モドル | ススム

● 白と黒と灰色 --- 第四回 ●

「どおしたの?」

 

 

「そんなトコすわって。なにしてるの?」

 

 

「イタイの? 苦しいの?」

 

 

「ねえ」

 

 

 

 

「お―――」

 

 

 

 

   ―――キーンコーンカーンコーン

「郁保ー、帰ろー」

「帰りてーのは山々だけど、さ…」

 

 

「オレ今日補修があってー。前回のてテスト赤点で

「補習って?」

 

 

「現社…。現代社会

「ふ〜ん。でも今日郁保と二人乗りで来たから、帰っちゃだめだよねー」

 

 

「じゃあ職員室の前で待ってる。ソファーも本もあるし

「ほんとに悪ィ!できるだけ急ぐから

 

 

「補習かぁ…」

 

 

「でも普通ありえないと思うんだけどなぁ。情報とか文書とかならわかるけど

ここの定時制は情報処理、文書処理以外テスト中の教科書ノート観覧可。

 

 

「ほんのちょっとでいいのよ」

「ですが今は…」

「(?)」

 

 

「いいじゃない。もう下校時刻でしょ?

「ですから…」

「(あれって…)」

 

 

「この間は授業中だからダメって返されたけど、今日はもう終わってるわよ?」

「ですから、わが学園は基本的に部外者の立ち入りは禁止してるんです!」

 

 

「それに見たところ、貴方方はどう見てもヤク…」

「なめくさってんじゃあねぇぞおっ!?」

 

 

   ―――ドン!

 

   ―――ドシャッ

「キャアアアッ!!」

「いったでしょ?」

 

 

「次 命令無しに動いたら、消えてもらうわよって」

 

 

「次はもっとマシな奴を付けなきゃね」

「け、警察…!」

「バカッ! 動くなっ!」

 

 

   ―――ドンッ!(電話破壊)

「ヒイッ!!」

 

 

「用が済んだら早々に帰らせてもらうから、早く会わせて貰えないかしら?」

 

 

「翡翠枇 亜唯さんに」

「!」

 

 

「この間会った時はカワイイ男の子だと思ってたけど、女の子だったのねぇ。驚いちゃった」

 

 

「ま、別にどっちでもいいんだけど。構わないし

 

 

「とにかく彼女に用があるのよ。いいでしょ…?」

「(どうしよう…)」

 

 

「(とにかく一度上に戻って、郁保に話して、向こうの階段から降りれば…)」

 

 

この場だけは、何とかなる。

 

 

   ―――ぴた

 

 

この場だけは

 

 

「………」

 

 

「おい」

   ―――はっ…

 

 

「んなとこ座り込んでると邪魔なんだけど」

「あ、ごめん」

 

 

「あ」

「?」

 

 

「君、杏里ちゃんの彼氏さんだよね?」

「!」

 

 

「確か悠里くんだっけ? 杏里ちゃん元気にしてる?」

「………」

 

 

「杏里なら元気だ…」

「よかったー」

 

 

杏里ちゃん全日制に行っちゃったからなかなか会えなくて気になってたんだー

「―――」

 

 

「何も」

「え?」

 

 

「何も思わねぇのか?」

 

 

「俺は…」

「なんで?」

 

 

「杏里ちゃんカワイイし、悠里くんかっこいいし。美男美女のカップルだよ」

 

 

「お似合い」

「………」

 

 

「そだ。悠里くん。今こっちの階段危ないんだ」

「あ?」

 

 

「咲ちゃんに会いたくてボクに会いたがってるヤクザが来てるから」

「………(日本語めちゃくちゃになってねぇか? つーかヤクザって…)」

 

 

「一度上に戻って向こうの階段から降りないと。悠里くんも一緒に…」

「それなら俺は尚更―――」

 

 

「いい加減出てきてくれないかしら?」

 

 

「拳銃持ちっぱなしって、けっこう疲れるのよね〜」

………

 

 

「早く出て来ないと―――」

「悠利ちゃん」

 

 

「お待たせ―――」

 

 

「杏里ッ! 来るなっ!!」

 

 

「え…」

 

 

「―――!?」(後ろから抱き込まれてこめかみに拳銃を付きつけられる)

 

 

「ご学友の頭が、吹っ飛んじゃうわよ?」

「………!!」

 

 

「杏里ッ!!」

「ななな、なんで杏里ちゃんがここにっ!?」

 

 

「―――杏里から」

 

 

「忘れ物したから取りに行くってメール来て、俺も本館の図書室にいたから迎えに行くって」

『(2階高等部職員室の前で待ってるっと)』

 

 

「あ、だから悠里くんもいたんだー。中等部生なのに変だなって思ってたんだー

「―――で、いつになったら出てきてくれるのかしら?」

 

 

「頭は出してくれてるけど、どうせならこっちでお話しない?」

 

 

「………」

 

 

   ―――トントントン…(二人共ちゃんと階段を下りる)

 

 

「ボクに何の用?」

「もちろん、咲夜くんの居場所よ」

 

 

「咲夜くんの彼女である貴女なら榊から居場所くらい聞いてるでしょ?」

 

 

「彼女?」

 

 

「ボク、咲ちゃんの彼女じゃないよ?」

「嘘ついてもダメよ」

 

 

「咲夜くんのことも含めて貴女のことも隅々まで調べさせてもらったの」

 

 

「それにしてもほんとすごいわねえ。貴女の交友関係って」

 

表向きは喫茶店とクラブであるが、裏で拳銃などの密売買を行っている「half&half」。

その兼経営者兼ママ孝子こと海灘木基 孝至とナンバー1ホステス麗香こと水無瀬月 美麗。

18という若さながら雛城一の情報屋日向 圭。

直系榊組組長榊総一郎の隠し子であり、  会会長  の隠し孫日代咲夜。

直系榊組組長榊総一郎。

 

「一般の高校生じゃ普通、ここまでの交友関係はもてないわ。そうでしょ?」

「……!」

 

 

「―――で、そろそろ教えてもらえないかしら? 咲夜くんの居所」

 

 

「知ってるんでしょう?」

「………」

 

「そんなこといわれても……」

ボクは何も聞いてない。

 


咲ちゃんは本当のこといわずにいなくなった。

だからボクは何も知らない。

 


「何も知らないのに、答えることなんて無理だよ」

榊さんとも、あの日以来あってない。

 

 

「本当に何も知らない? 心当たりも?」

「…………」

 

 

「心当たりなんて……。」

いわれて、思いつくのは―――。

 

 

 

 

 

 

「榊さんの、本宅くらいしか―――。」

 


「……何よそれ」

 

 

「最近、その類の噂を聞かないと思ったら、あの男。」

 

 

「息子の女にまで、手ェ出すなんて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BGM:「青嵐血風録」/ALI PROJECT

モドル | ススム
Copyright (c) 2008 亮祐 All rights reserved.
 

-Powered by 小説HTMLの小人さん-