「おおっと!」
ワープをくぐって真拳使いがこちらへやって来た。
ブツけた腰を摩りながら立ち上がってくる。
まだ年端もない奴じゃないか。
パナの奴、油断してたな。
「パナを倒すとはやるな。だがそれもこれまでだキサマは電脳6闘騎士一番車な男クルマン様によって倒されるのだからな」
「え〜?」
真拳使いの嫌そうな声に思わずスッ転んだ。
「どうせならバンジーが良かったな〜。絶望くんやスパーラビットや家電会社その2と遊びたかったのに」
「遊びじゃないんだぞっ! むしろ家電会社その2ってナニっ!?」
本当にナニ考えてんだ?
そう考えてもこれから処刑される奴のセリフじゃないぞ。
「ええいっ! そういっていられるのも今の内だっ! 何故ならここは6つの処刑場一残虐な地獄の教習所だっ!」
俺の声と共にこの教習所に住まう車の怨念、死の標識、そして悪霊達が出現する。
「ヒッヒッヒッ。この地獄の教習所では……」
「『スピードに取り憑かれた車の怨念がキサマを襲い、さらに死の標識によって体の自由を奪われ、その標識に命をもてあそばれ、そして最後にここで死んでいった悪霊達がキサマを地獄に引きずり込む』でしょ?知ってるよ」
「一字一句間違えずいったーーーっ!?」
何で知ってんだコイツッ!?
部外者じゃあないのかっ!?
「クソがッ! 一斉に行けいッ!!」
下僕達が一斉につっこんでいく。
これで真拳使いの死は確実だ。
「じゃ、俺は今のうちに作り溜めしておいた俳句を応募しよっと♪」
「へー。やっぱり俳句が趣味なんだ」
「うん。――って、アレーーーーーッ!?!?」
下僕達に襲わせた真拳使いが平然とそこにいた。
「なんでだっ!? なんでピンピンしてんだっ!?」
「全員倒したから」
「嘘ぉっ!!」
見てみると下僕達は全員見事に倒されていた。
車はブッ壊され、標識は折られ、悪霊は白目をむいている。
「あれだけの数をどうやってっ!?」
「それはもうちぎっては投げ、ちぎっては投げ。あとテッパイ」
「テッパイッ!?」
ヤバイヤバイヤバイッ!
鉄パイプのソレ系用語を知ってるあたりヤバイッ!!
「ねぇ、中古車」
「中古車いうな!」
「これで残ってるのは中古車だけだよね?」
楽しそうな声。
その顔は無表情だったが、内心ではきっと、にやりと意地悪そうな笑みを浮かべているだろう。
嫌な予感。
「テッパイアタックッ!!」
―――バキィッ!!
「やっぱりーーーッ!!」
鉄パイプで思いきり殴られた俺が宙を舞い、地面に激突する。
ああ、フォルムが歪んでしまった…。
「アーンドッ!」
それなのに真拳使いはフォルムを直す暇も与えてくれない。
唯一、一本だけ無傷に近かった標識に手を伸ばし……
―――バキッ!!!
「素手で引き千切ったーーーーーーーッ!?!?!?」
鉄パイプで折ったんじゃあないのっ!?
普通出来ないぞ、そんなことっ!!
まさかあの標識も全部引き千切ったのかっ!?
「標識アターーーァァァックッ!!!」
―――バッキャアアアァァァァッ!!!
「ギャアアアァァァァァッ!!」
尋ねることさえ出来ず、俺はブッ飛ばされ空の星となった。
END
亮祐:管理人です。今回はクルマンと会わせてみましたがどえらいことに(汗)夢主とんでもない子になりました。名前どころか一人称も出てないね…。次は詩人を出します。ではこの辺で。
BGM:なし