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おやびんがクマ6号の敵討ちだと騒ぎ立てる。
この人は優しい。
どんな奴でも平等に。
「すいません、俺は行けません」
でも、俺は行けない。
行く訳にはいかない。
「仲間達が迎えに来ました……。俺も行かねばなりません……」
「はっ!! まさか…」
「そうです。産卵の季節なのです……」
じいさんに頼んでおいた俺そっくりのロボット達が空を飛んでやってくる。
譲ちゃんの顔が思い切り引き攣った。
無理もねぇな。
俺もこの自分そっくりのロボットにはいつまで経ってもなれない。
そして俺はハジケ村で別れた時と同じ説明をする。
「破天荒は夏になると暖かい土地に卵を産む為に一斉に南に向かいます。俺も破天荒の一人としてこの修正に従うしかないのです……」
「もうそんな時期か……」
無念そうにおやびんの顔が歪む。
それを見た俺の胸の辺りに痛みが走った。
すいません、おやびん。
本当は嘘なんです。
産卵なんてないんです。
ああ、あなたに嘘を吐くのが酷く辛い。
せっかく逢えたあなたの傍を離れなければならない事が酷く辛い。
それでも、俺は毛の王国の生き残りを捜さなければならないから。
「じゃあな、ボーボボ! 冬には戻ってくるぜ!」
「ああ……。元気でな」
ボーボボと腕をクロスさせる。
こいつはワケわかんねぇ奴だが嘘をばらしたりしない。
……むしろ、嘘に気付いてるか怪しいな。
「破天荒」
今まで加わっていなかったクスコが声をかけてきた。
いつものように口元に笑みを浮かべている。
この女だけは良く思えなかった。
昔からそうだったが何を考えているのか解らない。
いけ好かねぇ。
そんな俺にクスコが一言だけ告げた。
「頑張りなさいよ」
楽しそうでもなく、呆れているでもなく
ただ落ち着いたトーンで。
ばれてない筈がない。
だからといって悪ノリしてる訳でもない。
解っていて言っているのだ。
頑張れ、と。
おやびんを欺いてでも果たさねばならない事があると解って。
まさか、毛の王国の生き残りを探していることも、その理由さえも解っているのではないかとさえ思えてしまう。
俺は、激励してくれるおやびんの声も無視して逃げるようにその場から去った。
心音がテンポを上げ、体中に響いていた。
こめかみに、冷たい汗が一筋伝う。
何なんだ、あの女。
いったい何なのだ。
昔からそうだった。
何考えてんのか解らなくて、何もかも見透かしているように思えて
クスコのそんなところがいけ好かなかった。
いや、恐ろしかった。
「なんで」
けど、それ以上に
「なんで、二十年前と変わってねぇんだよ…
二十年経っても老いてもいなかった姿に恐怖した。
END
亮祐:管理人です。連載夢ハジけブロック導入編です。破天荒がしばらく離脱する前に破天荒と夢主の確執みたいなのに触れてみました。破天荒は昔らからこの得体のしれない夢主を恐れていたのですよ。それにしても破天荒、恐れすぎ。
翔:いや、書いてるのおまえだから。
亮祐:次は管理人の本命登場!ではこの辺で。
BGM:なし