雨が降っていた。
―――ゆるさない……
そんな中、たたずむ一人の女。
―――アイツは絶対許さない
拳を握り締め、怒りで体を震わせている。
俯いているのでその表情は見えない。
―――待ってて。今逢いに行くから
決意し、踵を返すと雨の中へと消えていった。
さて、うってかわって雲一つない晴天。
ボーボボ、首領パッチ、ビュティ、へっぽこ丸破天荒達、通称ボーボボ一行は打倒毛狩り隊を目指して今日も旅を続けている。
「遠足だー♪遠足だー♪」
「バナナはおやつに入りまーす」
「遠足じゃないよ!!」
ハジケながら旅を続けている。
こんな調子で大丈夫なのかと思うだろうがそう思うだけ無駄だ。
これが彼らなのだから。
「それにしても、みんなずいぶんケガが目立って来たね」
ビュティの言う通りボーボボ、首領パッチ、へっぽこ丸、破天荒といった戦闘メンバーらの怪我が目立ち始めていた。
Zブロックを壊滅させて以来刺客が増え、負傷する機会が増えてきている。
今はまだ少々の怪我で済んでいるが、戦いが激闘化していけばそれだけではすまされない。
「確かに悪魔将軍との戦いは厳しかった……」
「それ別のマンガの人だよっ!!」
「フリーザとの戦いも……」
「だから別のマンガの人だってっ!!」
……もしかしたらすむかもしれない。
だがこんな調子で本当に大丈夫なんだろうか。
へっぽこ丸が溜息を吐いた。
「治してあげよっか?」
その時、突然後方から聞こえて来た声にへっぽこ丸が慌てて反応する。
5mほど先に長い杖を持った女がいた。
歳はだいたい自分と同じくらいだろうか。
けれどこの女、全く気配を感じさせなかった。
「誰だっ! 毛狩り隊かっ!?」
「ちょっと、相手に名を聞くならまず自分から名乗りなさいよ。ジョーシキでしょ」
「あ、ああ。俺はへっぽこ丸。――で、そっちは……」
「久しぶりー。元気だった? ボーボボ、破天荒」
「――って、聞いてねぇーーーッ!?」
名乗れといったのはそっちなのにとショックを受けるへっぽこ丸。
「知り合いなの? ボーボボ、破天荒さん」
「遠足だー♪ 遠足だー♪」
「おやびんサイコーだーーっ!」
「バナナはおやつに入りまーす」
「まだやってたのっ!?」
ビュティもまだフザけを続けていたのかとショックを受けた。
「しょーがないわねぇ」
「「!?」」
女がゆっくりと杖を掲げた。
「薬真拳奥義…」
「こいつ真拳使いかっ!?」
女とボーボボ一行の間に10mはある高波が現れた。
回復の高波
「キャアッ!!」
襲って来た高波があっという間に皆を飲み込む。
めちゃくちゃにもまれ息が出来ない。
勿論それはフザけていた三人も例外ではなかった。
「ぎゃあああーーーっ!!」
「さあ、お洗濯よーーっ!」
「お前も洗濯されとるぞっ!!」
割烹着を着用し、洗濯剤を撒くボーボボ。
何気に首領パッチにダメージを与えている。
そんな状況でも思い出していた。
この奥義を、そしてこの奥義の使い手を。
一方、破天荒もボーボボ同様思い出していた。
この真拳の使い手を自分はあの女しか知らない。
やがてあれだけの高波も全て消え、残ったのはボーボボ一行と女だけとなった。
「この……!!」
「まて、へっぽこ丸」
「どうして止めるんですかっ!」
「自分の腕を見てみろ」
ボーボボに言われた通り渋々腕を見てみる。
するとどうだろう。
ここに来るまで毛狩り隊にやられた怪我が跡形もなく消えているではないか。
腕だけでなく、他の部分の怪我も全て消えていた。
「これはいったい……」
「初めにいったでしょ? 治してあげよっかって」
にこにこと女が笑う。
一体何が目的なのか、へっぽこ丸には解らなかった。
「自己紹介が遅れたわね。私は。そこにいるボーボボと破天荒の昔馴染みよ」
「じゃあボーボボと同じ毛の王国の?」
「ああ」
「つっても、そいつは流れ者だけどな」
だから毛の王国出身ではないと続ける破天荒はどこか不機嫌そうだ。
「ちょっとー、何不機嫌そうにしてんのよ。昔、私がよくあんた達のオムツ替えてた恩忘れてんじゃない?」
「んな覚えてない昔の話を出してくんじゃねぇよっ!」
「さん、急に俺達の前に現れてどうしたんだ?」
「ああ、そうだったわね」
忘れかけてたとは改めてボーボボを見る。
真剣な表情。
だがそれは次の瞬間崩れ去った。
「仲間に入れてv」
「OKー」
「答えるの早ーーーッ!!」
思わずつっこみをいれてしまったの仕方ない。
「まあ、ボーボボの知り合いだし別にいいんだけど……」
「じゃあこれから宜しくv」
そんな軽いノリでの参入が決まったのだった。
だが話はこれで終らなかった。
ビュティの脳裏に一つ気になることが浮上する。
「あの、さん」
「何?」
「さっきよくボーボボ達のオムツ替えてたみたいなこと言ってましたよね……?」
「そうだけど」
「それってつまり……」
「ああ、こう見えても私あの二人より年上よ」
「マジでッ!?」
それでその顔立ちは反則だろ。
そう言ってやりたかった。
(へっぽこ丸)「ところでさっきの奥義のどこが薬真拳だったんだ?」
()「そうねー。しいていえば、あの波が消毒液ってとこかしら」
(ビュテイ)「マジでッ!?」
(首領パッチ)「つーか俺の出番少ねぇぞっ!!」
END
亮祐:管理人です。支離滅裂した連載夢小説へようこそ。むしろ読んでもらえて感謝です。ボボボーボ・ボーボボの原作沿い夢小説というまだ見かけていないジャンルに挑戦してみました。とはいえまだ原作には触れてませんが。
一応背景は奥義66と67の間、Zブロック壊滅後の破天荒が去る前です。冒頭早々から夢主のシリアスで始まってしまいましたがボーボボなのでそんな大したものではありません。むしろ二・三話後に判明してしまいますので。ではこの辺で失礼を。
BGM:なし