Everlasting a Conception

あな

モドル | トジル | ススム

「さっちゃん、はじめて会った時女の子の格好だったんだよね」

 アレフ、五月の口から大量に飲料水が噴出された。
 その全てを被ったのはアルベルトだった。

「マジかよっ!? それっ!!」
「うんv」
「急に何いい出してんだ、おまえはーーーーっ!!!」
「つーか一人くらい謝れよ、俺にっ!!!」

 アルベルトの涙の訴えだった。

 ジョートショップのメンバーはさくら亭にて偶然第三部隊メンバーと鉢合わせした。
 陸月のせっかくだからということで、五月とアレフ、アルベルとの声も無視に全員で酒の席を共にし、肴として出た話題が今のだった。

「あら、そうだったの? お化粧してあげましょうか?
「酔ってるねv ヴァネッサ」
「いるかぁーーーーっ!!」

 ちゃぶ台返ししかねない五月の叫びだった。

「だいたいそれをいうならおまえもだろ、陸月っ!」
「うんv」
「否定するどころかハートマークですか!?」Σ(゜ロ゜;)!?

 事実にアレフが敬語口調になった。
 事情説明を陸月が始める。

「神月家じゃ丈夫に育ってほしいっていう願を込めて幼少の男子は女の子の格好をさせる風習があるんだよ」
「ああ、納得」

 陸月の説明でアレフは納得した。
 二人の家系は旧家だ。
 そういう風習があっても不思議じゃない。

「――で、ここにその頃の写真が」
「ホギャーーーーッ!!!」

 泣きながら奇声を上げて五月が写真を取り上げようとしたがアレフ、アルベルトによって取り押さえられた。

「観念しろ、五月っ!」
「さっきの水引っかぶりの恨みだっ!!」
「〜〜〜〜っ!!!」
「あらやだ、可愛いじゃないv」

 写真を見た由羅が嬉しそうに顔を赤らめた。
 写真に写っている二人の子供はなんとも愛らしい服を着ており、顔も可愛い。
 何も知らず見れば全員少女と間違えそうな程だ。

「それが今じゃこんな凶暴になって……」
「おかんみたいなこというなよっ!!」

 リサのため息に五月がつっこんだ。

「てか陸っ! なんでそんな写真持ってんだよっ!!」
「エンフィールドに行くとき、家から持ってきたんだよ。お守りで

 幼い頃の女装写真をお守りにしてしまうのもどうかと思う。

「それより、久しぶりに呼んでくれたね」
「へ?」

 五月の言葉に五月が面食らう。
 どういうことだろう。
 久しぶりに呼んだということは…。

「陸…?」
「うん、昔は僕のことそう呼んでたのに、エンフィールドで久しぶりに会ったら陸月でしょ? 正直どうしたのかなーって」

 そう言われて五月が考え込んだ。

「………」
「さっちゃん?」
「陸」



「俺ら、初めて会ったのどこだった?」

 五月の言葉に全員が停止した。
 陸月も顔こそ笑顔だったが、若干怪訝そうに顔をしかめた。
 とはいっても、それは一瞬だけだったので陸月の変化に誰も気づかなかったが。

「…さっちゃん?」
「いや、この間は思い出したっつったけど、よくよく考えてみれば穴があるなーって」

 昔陸月を陸と読んでいたことなんて全然頭に無かった。
 それで思った。
 自分の記憶は思い出せてない箇所がある。
 今言った陸月とはじめて会った場所もそうだ。

「―――で、どこだっけ?」
「………」

 ―――陸月、これが五月。おまえの――。

「さあ」



「昔過ぎて、僕も忘れちゃったよ」





END


亮祐:管理人です。久しぶりのEverlasting a Conceptionです。
翔:この間の人物絵を覗いたら2年ぶりの更新なんですけど。
亮祐:ギャグだけだと話が進めにくくて...( = =) トオイメ そういうわけでシリアス倍増しようと思います。今回はその一端。穴がある五月の記憶。何が隠されているのか…! ではこの辺で。


BGM:勇侠青春謳/ALI PROJECT

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