Unforgivable a conception

おまえに最初で最後の嘘をつこう

モドル | トジル | ススム

 葉月が、俺の前から姿を消した。
 目覚めた時 葉月はいなかった。
 いつもならあの笑顔で目覚めた俺を迎えてくれる筈なのに。

 だから探した。
 必死になって探した。

 ドコにいるんだ、葉月。
 葉月。



 葉月―――…。










 見つけ出した葉月は、エンフィールドとかいう街の何でも屋の世話になっていた。
 全ての記憶を失くして。
 記憶を失くした葉月は沢山の人間に囲まれて、幸せそうに俺に向けていた笑顔を浮かべていた。

 そのとき、思った。
 葉月はこのままここに居た方がいいんじゃないか。
 永い刻を生きる俺なんかといるより幸せになれるんじゃないか。
 ここの奴等なら葉月を受け入れてくれるかもしれない。
 おまえの幸せを一番に願ってるから。
 俺じゃおまえを幸せに出来ないから。

 だから



 葉月を、人間に帰そう―――……。



 けど、俺のことを覚えててほしかった。

 少しでもいいから
 心の片隅にでもいいから
 俺のこと、覚えていてほしかった。

 頼むから俺のこと覚えてて
 憎しみでもいい、恨みでもいい
 頼むから
 俺のこと覚えていて―――……。










「どうしてあなたはこんなことするのー?」
「ハッ、俺はただテメエに憎んでもらいたいだけさっ」

 だから俺は

「ヒャハハハハッ! 悩め悩めっ! そしてもっと俺を憎んでくれっ!!」

 おまえに最初で最後の嘘をつこう。
 とても優しく、とても残酷な嘘を―――。





END


亮祐:管理人です。シャドウが事件を起こした本当の理由。自分の事を忘れてしまった葉月にせめて憎しみや恨みでもいいから自分の事を覚えていてもらう為に事件を起こしたんです。 この二人の過去等についてはまた後ほど。ではこの辺で。


BGM:『花』/MR.CHILDREN

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