「うーん、どうしてもうまくできないわー」
悔しそうに葉月が口を尖らす。
「そんなことないわよ〜。充分ググってきちゃったもの」
「それにお子様がムリすることじゃねーって」
そんな葉月由羅とアレフが元気つけた。
葉月が今、口を尖らせている原因は色気にあった。
今日の仕事の内容は『街道のモンスター退治』。
元傭兵のリサが居るから楽勝だと思っていた。
だがなんと、そのモンスターは『色気』に弱い、いわゆる煩悩モンスターだった。
それを知ったジョートショップの四人は由羅に頼んで『色気』を伝授してもらっていた。
「だいたい、おまえには色気なんかまだいいって」
「確かにそうだけどー」
葉月が向こうにいる二人を見る。
「リサとマリアじゃ確実に戦力にならないものー」
「確かに……」
アレフが溜息を吐いた。
そこにいたのがマリアに付き合ってもらって練習はしているものの、普段こういうことに慣れていない故表情や声が強張っているリサだったから。
はっきりいってかなり気味が悪い。
マリアも由羅に「それ街中でやらないでね……。シャレにならないから……」と言われたが果たしたモンスターがその趣向かどうか。
むしろ、そうなら色んな意味でやばいような気もする。
「だからってアレフじゃ体格でバレバレだし、私がガンバらなきゃー」
改めて葉月はやる気を見せる。
けれどアレフは項垂れた。
―――おまえじゃよけいムリだって……
葉月は記憶を失っているためその正確な年齢は判らないがおそらく14・3歳。
その証拠に顔立ちも幼く、身長も15歳のマリアより少し低い147pだ。
どう考えても大人の色気なんて出せるわけが無い。
気張る葉月に由羅が茶化しでアドバイスする。
「じゃあ、とりあえずマリアちゃんを手本にやってみたら?」
「そうねー。じゃあ試しにマリアがやってたのにアレンジを入れて……」
「だからいいって……」
葉月はアレフの言葉に耳も傾けない。
―――もう好きにやらせるか
考えたその時、アレフの思考が止まった。
「お兄ちゃん……葉月、苦しいのー……。頭も痛くて、恐いよぅ……」
潤んだ瞳。
上気した頬。
全員時間が止まった。
そして物凄い勢いで誰かが走り去っていった。
「な、なに? 今の」
「あれ〜? アレフちゃんがいませんよ〜?」
「う〜ん、アレフくんはその趣向だったか……」
「嘘だろう……?」
「???」
由羅が言った言葉の意味が純粋な少女三人には解らず、走り去ったアレフが通った廊下を見つめていた。
その頃、アレフは由羅の家の前でうずくまっている。
落ちつけっ!落ちつけ、俺ッ!!
相手はあの葉月だぜっ!?
しかもまだ14・3歳だっ!!
でも今のは…――って、考えるな俺ーーーーーっっ!!!
悶々とした気持ちを抑えるのに精一杯だった。
その後、この仕事が無事に終わったかは定かではない。
END
亮祐:管理人です。初めて書いたアレフ×女主人公。別名それはヤバイよ、アレフさん。
翔:おまえが書いたんだろ。
亮祐:ではこの辺で!
BGM:なし