これは、天挑五輪予選会場会場へ向かうヘリの中であった出来事である。
◇◆◇◆◇◆
「なあ桃、さっきから自分の腰ばかり触っとらんか?」
富樫の言葉に桃はぎくりとした。その言葉通り桃はヘリコプターに乗った時、いやそれ以前からずっと己の腰を擦っていたのである。
人には、絶対言えない理由で・・・。
「そ、そうか?」
「そうじゃって。さっきから見とったがずーっと擦るように触っとるぞ」
「なんじゃ。痛みでもあるんか?」
虎丸まで話しに入ってきてしまい、桃は少し動揺してしまう。
ここはなんとか切り抜かなければならない。
「痛いならマッサージしてやろうか?」
「いや、いいっ」
Jは善意で申し出たのであろうが桃はそれを断った。
今の状態でされたら酷い痛みになる事は必須である。
「心配するな。向こうにいた頃は仲間同士でよくやっていた」
「いや、だから・・・」
「J」
そこへ声をかけたのはだ。
「気持ちは嬉しいがやめておけ。桃は昨夜酷い出血をしてもやめなかったぐらいだからな」
「―――っ!?教官っ!?」
その言葉に思わず桃は赤くなってしまう。
「そうか。悪かった」
分かっているのかいないのか、単調に謝るJ。
「なんじゃ、特訓か?」
虎丸のほうは純粋に分かっていないようだ。
「そ、そうでござったか・・・」
「・・・・・・・・・」
三面拳の中では雷電と月光が一番 まともな返答をしている。
「そうでしたか。それはさぞ痛むでしょうね。実は私も昨夜富樫に夜這いをかけましたが見事に失敗しましたよ」
「えッ・・・?」
「飛燕っ!テメッ・・・」
あくまでもにこやかに話す飛燕に虎丸がショックを受けていた。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」
鎮守直廊の三人はだんまりで決めるらしい。
「赤石の奴、ついに手を出したか・・・」
「じゃあ賭けは俺の一人勝ちだな」
「卍丸の天挑五輪前に手を出す予想は当たったな。羅刹や俺はてっきり終わってからだと思ったが・・・」
「卒業後だと踏んでいたのに・・・」
羅刹、卍丸、センクウ、影慶ら死天王に至ってはいつそうなるかと賭けをしていたようだ。
「死天王もあいかわらずだなぁ」
「・・・・・・・・・」
面白がっているをよそにうつむいて真っ赤になっている桃。
そして
「(あの白髪野郎〜っ、殺す・・・!!)」
「(諦めんぞ、俺は・・・!!!)」
伊達と富樫は燃えていた・・・。
END
亮祐:小ネタでも充分通じたなぁと思いながらも小説に。