ボンバーマンジェッターズ

知るために

photo:夢色 モドル | トジル | ススム

「はあっ!はあっ!はあっ!」

 シロボンは走った。
 ただ無我夢中に走った。

 信じられなかった。
 信じたくなかった。
 何も信じたくなかった。
 何も考えられなかった。
 何も考えたくなかった。

 だから走った。
 走ることに集中していれば、何も考えずにすんだから。

「あっ。――っ!」

 だがそれは唐突に終わりとなった。
 石に躓いて、その場にこける。
 草がクッションになったのであまり痛みはなかった。
 只、心が痛かった。
 どうしようもなく、痛かった。
 これならまだ体が痛い方がましだった。

 痛くて 痛くて 痛くて

 その場に生えてる雑草を握り締めた。

 不意に、夜空を見上げた。
 月が、シロボンを照らしていた。





 兄ちゃん、お月さまがきれいだねっ!
 うん、そうだね。
 あ〜、お月さまみてたら、タコヤキ食べたくなっちゃった。お月見だんごも食べたいな〜。
 シロボンは花より団子だね。じゃあ、ちょっと寄り道してたこ焼きとお月見団子食べよっか。
 えっ!?いいのっ!?
 ボムばあさんには内緒だよ。
 うんっ!・・・ねぇ兄ちゃん。
 ん?
 大好きっ!





 涙が、溢れた。

 シャウトがいってたことは本当なの?
 マックスが兄ちゃんだったんじゃあないの?
 だったらどうしてマックスが風船ボムを知ってたの?
 兄ちゃんは、本当に死んじゃったの?

 もう会えないの?
 お話しもできないの?
 一緒に手ェつないで帰ることもできないの?
 そうなの?
 兄ちゃん……

 答えは、返って来なかった。
 ただ月だけがシロボンを優しく見ていた。

「ちゃんと、確かめなきゃ……」

 本当に兄が死んだのか。

 この目で、死んだ兄を見たわけじゃない。
 この目で、真実を聞いたわけじゃない。
 まだ、ちゃんとしたことは分からない。
 その為にもムジョーに、マックスに会わなければならない。

 立ち上がり、シロボンは歩き出した。





 ……残酷な真実を知るために。





END


亮祐:「シャウトの涙」の後、こうなるんじゃないかなーと思って書いたモノ。管理人が書くシロボンって実は大人なのかもしれない。実際は絶対マックスがマイティだってムキになってったのに。 待てよ?もしかしたら本当は心の奥底ではちゃんと分かってるけど信じたくないからムキになってたのかも

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