夢か、現実か

 

 

「ねぇ先輩?先輩前までいつも俺のことどうやって殺すか考えてましたよね?」

 

「『いつ殺すか』とか、『どこで殺すか』とか、『どうやって殺すか』とか、『殺したあとどうするか』とか・・・。どうしてそんなこと考えてたんです?」

 

 「『鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトドギス』ですか・・・。殺してしまえば他の誰のモノにもなりませんからね。富樫のモノにも、伊達のモノにも、そして、先輩のモノにも・・・」

 

「今でも時々考えるんでしょう?俺は今こうして先輩のモノになりましたが、いつ他の誰かのモノになるかわかりませんからね」

 

「・・・先輩、俺のこと殺してくださいよ。そうすれば俺、他の誰のモノにもなりませんよ?先輩のモノにもなりませんけどね。でも他の誰の手にも渡らなくなる。永遠に、先輩の中で生き続ける・・・」

 

「いいと思いません?ねぇ?赤石先輩・・・」

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 赤石が目が覚めた場所は己の二号生筆頭室であった。

 体を起こし、寝汗でびっしょりになってしまった額に手をやって溜息を吐く。

 

(また、あの夢か・・・―――)

 

 ここ最近、赤石はこんな夢ばかり見ていた。

 あの夢ばかり見るので、おかげですっかり寝不足である。

 

「ん・・・」

 

 隣で眠っている桃が身じろぐ。起きてしまったのかと思ったがそういう訳ではなさそうだ。

 そう簡単にはおきないだろう。先程、かなり無理をさせてしまったから。

 

(こうなってからだ。あんな夢を見るようになったのは・・・)

 

 赤石は桃とこういう関係になってあんな夢を見るようになっていた。特に、寝たときは絶対に。

 理由ももう分かっている。

 

(渡したくねぇからだ。桃を・・・)

 

 殺してしまえば、他の誰のモノにもならない。

 

 殺してしまいたい程、桃が愛しい。

 

 だからこそ、あんな夢ばかり見てしまうのだ。

 桃から“自分を殺してくれ”と頼む夢を・・・。

 

「・・・先輩」

 

 見てみると、桃は目を覚ましていた。

 

「俺、今変な夢見たんですよ。先輩に“俺のこと殺してくださいよ”って頼む夢を・・・」

 

 まさか、桃も同じ夢を・・・―――?

 

「最近、よく見るんです。こうなったときは絶対に。そんなこというワケないのに。でも・・・」

 

 体を起こし、桃は赤石の首に手を回す。

 

「先輩にだったら、殺されてもいいですよ?“他の誰のモノにもならなくなる。他の誰の手にも渡らなくなる。永遠に、先輩の中で生き続ける・・・”。それもいいかもしれませんね」

 

 いつもの笑みで、そう言い切った桃。

 シーツを握り締める拳に、力を込める赤石。

 

 これも夢なのだろうか?

 それとも・・・―――。

 

 そんなこと、もうどちらでもいい。

 

 赤石は桃の唇を激しく奪っていた。

 

 

 

 

 

END


亮祐:初めて書いた赤石×桃。しかもシリアスで情事後・・・vvv

翔:二人とも別人だけどな。

亮祐:ぐっ・・・。実は使用時間二時間半。しかも簿記の授業中。

翔:すな 。

亮祐:管理人にとって桃が赤石先輩に「殺されてもいい」っていうのはサイコーの誘い文句だと思ってるんですけど、変ですか?

翔:…。(-_-)