「そこまでいうコトねぇじゃねぇかよ・・・」
すっかりいじけてしまったコングマンは外で地面に絵を描いていた。
「確かに訊いたのは俺様だが何もあそこまで・・・」
「コングマン」
後ろから聞こえた青年の声。
スタンの奴だ。
「そこまで落ち込むなよ。みんなコングマンのことを思って本当のことをいってくれたんだから」
「(だからってアレはいいすきだっ)」
何を言われてもコングマンの怒りが収まることはなかった。
あれだけボロっかすに言われたのだからそう簡単に元気を取り戻せる訳がない。
「・・・そりゃあさ」
(ん?)
声のトーンがいつもより低い事が気になり、コングマンは後ろへ振り向いてみる。
「確かにコングマンって、サブキャラで、暑苦しくて、美形じゃなくて、筋肉ムキムキで、音痴で、OPムービーに出てなくて、女遊びなんかする最低な奴かもしれないけど・・・」
「・・・・・・」
フィリアならともかく、スタンにまで言われるのは癪にくる。
ブン殴ってやろうと手を構えようとする。
だが
「でも、良いトコロだっていっぱいあるじゃないか」
(良いトコロ?俺様に?)
そう言われて拍子抜けしてしまった。
アレだけぼろっかすに言われて、自分にも良いトコロがあるようには思えない。
「フィッツランド闘技場で一番強いし」
「けど一番は俺様を倒したおまえじゃねぇか」
「でもあの時はエナジーブレットを使用してよかったからだよ。なかったら絶対勝てなかった」
なんだか、慰められてる気分だ・・・。
だが
「それに・・・本当はどんな武器でも使えるのに自分の誇りのため、そして応援してくれるファンのために絶対に拳一つでしか勝負しないトコロとか、さ・・・」
その言葉でコングマンは大きく目を見開いていた。どうしてスタンがそんなことを知っているのか分からなかったのだ。
今まで誰にも、喋っていないはずなのに・・・。
「オレ、コングマンのそういうトコ」
そこまで言ってスタンはすぐ目の前でひざを付いて座る。
「好きだなぁ・・・」
そして
額に、柔らかい、微かな感触。
「〜〜っ!///スタンッ!」
「じゃ、俺は行くからコングマンも早く戻ってこいよ」
真っ赤になったコングマンをおいてスタンはさっさと戻っていく。
「あのやろう・・・」
思っても見なかった。
まさかスタンに額へキスされるなんて。
だが
(何で、イライラしねぇんだ・・・?)
怒りはなかった。
それどころか、心臓がバクバクして・・・。
これではまるで『嬉しい』みたいではないか。
「フン・・・///」
その感情がいったい何なのか分かったコングマンはしばらくの間、スタンがいる皆の元へ戻れなかった。
後日談。
ルーティ「スタンに額へキスされた?そんなの、アイツにとっては挨拶みたいなものよ」
スタン「リオーン、ウッドロウさーん」
リオン「よせっ!///やめろっ!///」
「スタン君は本当にキスが好きなんだね///」
ジョニー「じゃ、俺もv///」
コングマン「(ガーンッ!( ̄〇 ̄|||!!)」
END